技能実習生ベトナム人との結婚~在留資格変更
最終更新日:2024年6月22日 行政書士 勝山 兼年
技能実習制度とは
技能実習制度は平成5年に発展途上国などに、日本で培われた技術又は知識を移転するために始まった制度です。令和5年の在留人数は40万人あまりです。ただし、人手不足の日本の生産現場での人員確保の意味合いが強く、技能実習に応募する外国人の意識は、技術技能の習得ではな出稼ぎの感が否めません。
外国人を受け入れる実習先会社の体制に問題がある事が多々あります。失踪する外国人実習生は令和3年では9千人程と集計され、国別ではベトナム人が6千人と最多です。
技能実習からの在留資格変更の流れ
「技能実習」の者が在留資格を「日本人の配偶者等」に変更することに制限があります。これは上記の通り、実習先を失踪する者が全体の2割以上と多く、受入れ団体には厳格な管理を求めている出入国在留管理局としては、技能実習が途中で在留資格を変更をすること自体が、実習生の管理不備と見るからです。
実務面で説明すると技能実習生は本国に帰国するまでは、受入れ団体が管理しておりますので、例え日本人との正式な結婚であっても在留資格を変更することを認めません。しかし、実習先会社の責任者が、人情として愛する二人が家庭を持ちたいとの強い思いを汲んで、在留資格変更を認めることもあります。この場合は出入国在留管理局は在留資格変更申請の際に、実習先会社及び管理組合等からの承諾書の提出を求めます。
技能実習生ベトナム人との結婚の事例-在留資格変更編
金属加工の会社で働いていた日本人Aは、同じ職場で働くベトナム人実習生Kと交際していました。二人の交際は会社の公認でしたが、Aは一日も早くKと結婚して家庭を持ちたいの望んでいました。そこで、AとKは勤務先会社の社長に談判したところ、在留資格が変更し後もKが会社で働いてくれるのならと結婚と在留資格変更を承諾してくれました。また、社長は難色を示す、会社が所属する技能実習生の管理組合の担当者も説得してくれました。
ベトナム領事館での証明書発行を経て、二人は日本人の本籍地役所に婚姻届をしました。そして、二人は同居ののち、実習先会社と管理組合が発行してくれた承諾書を添えて、住所地管轄の出入国在留管理局に申請をしました。審査を経て「日本人の配偶者等」への在留資格変更が許可されました。
実習終了後に帰国させてから日本に呼び戻す方法
技能実習からの在留資格変更は実習先会社と管理組合の双方から承諾書を貰うという極めて高いハードルがあります。日本人が同じ会社に働いていて、周りが二人の交際に理解があればいいのですが、実習先会社は関係ない日本人のために承諾することは先ずありません。また、日本で婚姻届けをするための実習生の本国の身分に関する証明書も必要ですが、実習生本人が本国の役場に出向かなければならず、気軽に帰国できない実習生にとっては難問となります。
そこで、多くに実習生と結婚する場合は、実習期間を終えるか実習を辞めさせて一旦本国に帰国させてから、婚姻の手続きを経て日本に呼戻すための在留資格認定証明書交付申請をするながれとなります。
技能実習生ベトナム人との結婚の事例-在留資格認定証明書交付編
日本人Bは、SNSで知合ったベトナム人Mと交際をしていました。ベトナム人Mは総菜や弁当を加工している工場で技能実習生として働いていました。交際を深めた二人はMの実習期間満了後に結婚することを決めました。ところが、深夜勤務が多く体調不良のMが、このまま技能実習を続けられないと訴えました。日本人BはMの実習先会社の担当者と直談判し、Mの勤務シフトの改善を申し込みました。しかし、担当者からは特別扱いはできないと突っぱねられ、また、Mに対して実習期間中はBとの交際を禁ずると命令してきました。実習先会社の誠意のない対応に幻滅したBは実習期間の満了を待たずに、Mの実習を辞めさせて在留資格を「日本人の配偶者等」に変更することにしました。しかし、Mの実習先会社の担当者からは在留資格変更の承諾書は出せないとの回答でしたので、在留資格変更は諦めてMはベトナムに帰国しました。
Mから送られた書類でBは婚姻届をしました。また、MはBから送られた、日本の結婚に関する書類を人民委員会に提出し、結婚証明書発行を受けました。その後、Bは自身の住所地管轄の出入国在留管理局に、Mの代理人として在留資格認定証明書交付申請をしました。認定証明書が交付されたのちに、証明書をベトナムのMに送り、Mは在ベトナムの日本国大使館でビザの発給を受け日入国しました 。